My Favorite Mountains No.32

空木岳〜南駒ヶ岳 山域;中央アルプス 難易度;☆☆
山行日;2009.08.22()〜23()
ルート
第1日目;古城公園上展望台−池山−池山尾根−空木平避難小屋−空木岳−空木平避難小屋
第2日目;空木平避難小屋−空木岳−赤椰岳−南駒ヶ岳−赤椰岳−空木岳−駒石−池山尾根−古城公園上展望台
ガイド

感想
 嫁が所要で横浜へ行くことになっていた週末。
 付いて行く事も多い作者だが、お盆休み中にあまりにも多くの車と人を見たせいで都会への拒否反応が出たため独り山へ行くことに。
 で、テント泊1泊2日を前提に考えたものの、お盆に遊びすぎたためお金が無い!!
 っつー事でテントではなく避難小屋泊まりですが最も安価に行けそうな最寄の名山、空木岳に9年ぶりに行くことに決定。
 中央アルプスってめっちゃ近い割にはテン場が無いっつー理由で何年もご無沙汰してました。
 まぁ、スキーしに千畳敷までは2年前に行ってますが、登山となると5年ほど前に妻とロープウェイ使って宝剣岳に登って以来か?!

 うちのベランダや駐車場からもよく見える空木岳。
 前夜に雨が降り、土曜は昼過ぎから回復っつー事で朝7時に目を覚まして、ゆっくり準備して天気を見て9時ちょっと前に家発。
 今回予算2000円の貧乏山行のため食料は全て家にあったものから用意して時間が掛かったとは言え、普段ならこんな事はありえないのですが…(^_^;)
 で、家を出てから15分ほどで林道古城線に入り、車で上がっていくと…


通行止めのゲート


 古城(ふるじょう)公園上にある展望台のすぐ先でなんと予期せぬ通行止め!!
 地図を見ても予定してたスタート地点(林道終点)までは歩いて1時間ほど掛かりそう。
 うーん。山行自体中止しようか?と悩むが家に帰ってもやる事ないし、どーせ暇を持て余す位だったらトレーニングも兼ねて登りましょ♪
 と思い直してここから歩き始める。

 朝9時15分に展望台をスタートして本来のスタート地点である林道終点に10時10分着。


林道を横切る登山道
  

本来のスタート地点


 林道を横切るようにして通ってる登山道はしっかり整備されており歩きやすい。
 林道終点の駐車場で一休みしたら再スタートするが…
 ここから池山小屋までは分岐が多く、非常にわかりづらい。
 そもそも作者の持っている地図が古過ぎるのが悪いんだけど、地図に載っていない道が出来ていたり、
 池山小屋の場所が変わっていたり…


鷹打ち場の分岐
左を行けばだらだら登っていく遊歩道
正面(画面右)の池山山頂(急峻)ルートは熊が出そうな笹薮の中を登るルート。
  

池山山頂
作者の持っている地図(1998年版)では池山山頂を通るルートなんて無いのに…


 作者はだらだら遊歩道を歩くよりはちょっとくらい急でも短い方が良い!!と思って(急峻)と書かれたルートを選んだのですが、これが失敗。
 登山道自体はよく踏まれてはいるけど、無駄に池山山頂を通った後、池山小屋までは下りになるので余計に登る羽目になった。
 ほぼ同時期にこの分岐で分かれた中高年夫婦よりも自分の方が池山小屋に着くのが遅かった事を考えてもこちらの方が遠回りな気もする。
 「急がば回れ」っつー言葉が胸にしみる。

 とにかく池山小屋までがやたら遠く感じられたがおいしい湧き水が出てるのでそれを飲んで元気を出して再出発。
 で、まもなく、また分岐。


池山小屋先の分岐


 行き先は一緒だが登山道経由と遊歩道経由。
 とりあえずこれも登山道を選択したけど、これは正解◎
 帰りに遊歩道側を通ったけど、登山道側の方が近いし、明るい樹林帯の中を歩くので雰囲気が良い。
 対して遊歩道側は歩きやすいけどまたも笹薮が多く、熊が出そうなのとだらだら登っていくので遠い気がする。

 「尻無」っつーとこで先ほど分岐した道が合流して、ここから先がようやく一本道。
 「マセナギ」を通過してしばらく登ると「注意!!」の看板。
 ここから先がこのルートの核心部、「大地獄」「小地獄」。
 どこまでが「大地獄」でどこからが「小地獄」なのかはわからないけど、登りだと大地獄の前と小地獄の後に「注意!!」の看板があるので分かりやすい。
 まぁ、地獄とは言ってもよく整備されてるので特に難しいところは無い。
 ただ、万一足を滑らせたりするとやばそうな感じはするけど。
 それと、この池山尾根ルートのところどころで木製のはしごが壊れているところがあるので注意が必要です。

 ヨナ沢の頭付近まで来ると天気も回復し、ようやく樹間に景色が望めるようになる。
 尻無〜ヨナ沢の頭までは天気が良くてもずっと樹林帯の中なのでどっちみち景色はほとんど楽しめませんが。


樹間より望む宝剣岳


 緩やかに登っていくと(基本的に池山尾根は緩いですが)やがて駒石を経由する道と空木平を経由する道の分岐。
 そこから左へ空木平へ灌木帯の中を緩く下っていくと景色が開けて空木平へ到着。


空木平入り口付近から見上げる空木岳
  

新しくなった空木平避難小屋


 近年立て替えられた空木平避難小屋はとても綺麗。
 トイレもあり、こちらも定期的に清掃されているようでかなり綺麗。
 避難小屋の使用料1000円もこれなら納得。
 ただ、作者が到着した午後3時には先着のおっさんパーティーが既に宴会をはじめていて酒、 特にウィスキー系の匂いが充満していましたが…

 朝の曇天とはうってかわって気持ちの良い晴れ空の下、ぼーっと景色を眺めたりだらだらしたりした後 ちょっと早めの夕食を食べたらカメラと三脚とカッパとへドランと水だけ持って行動開始。

 空木平避難小屋から沢伝いに40分ほど登って行くと駒峰ヒュッテ。
 ここは昔泊まった事がありますが、空木平避難小屋以上に綺麗な感じ。
 ただしあくまでもここも避難小屋なので水・食料等ありませんので利用する方はご注意を。

 んで、そこから5分ちょっとで中央アルプス南部の盟主、空木岳(2864m)に到着。
 冒頭にも書いたように9年ぶりだけど、こんなに展望のすばらしい山だったっけ?
 ちょっと中央アルプスを甘く見てました。
 この展望はまさに一級品!!
 特にそのほぼ全て見渡せる南アルプスの眺めは圧巻!!!


空木岳より中央アルプス北部、木曽駒・宝剣方面
  

空木岳より中央アルプス南部、南駒方面&遠くに恵那山
  

空木岳より南アルプス@鋸・甲斐駒・仙丈
  

空木岳より南アルプスA北岳・間ノ岳・農鳥
  

空木岳より南アルプスB塩見
  

空木岳より南アルプスC悪沢・荒川・赤石・聖
  

空木岳より御嶽山
  

雲海と午後の太陽


 飽きることの無い360°の絶景を楽しみながら夕暮れを待つ。
 山で見る夕日&ご来光は作者にとって登山の最大の楽しみでもあるのでこういう待ち時間はけっこう幸せ(*^_^*)

  


影空木
  

夕日と御嶽
  

宗教チック?な夕日と雲海
  

塩見岳と富士山


 落日の瞬間まで見届けようかとも思ったけど、満足のいく景色を見れたし、どんどん空木平が暗くなっていくので 途中で下山。

 避難小屋まではあっという間についたのでもうちょっと粘れたかも?と思うもまぁ、空木平からも綺麗な夕焼け雲を 見れたので良しとしよう。


空木岳と夕焼け雲


 この日の行動はこれにて終了。
 おっさん達のパーティーも意外と早く就寝したので午後7時半には消灯しておやすみなさい。
 この晩は非常に風が強かったけど、避難小屋は計5人しかいなくて広々使えたのもあるしとても快適でした。



 2日目の朝は3時起床。
 いつものようにすぐおいしい、すごくおいしい♪のチキンラーメンをすすって荷物をまとめて3時50分避難小屋発。
 寝る前は東の空にはほとんど雲が無かったのに、この時点ではけっこう雲が多くご来光は微妙な感じ。

 ヘッドランプの暗い明かりを頼りに昨日と同じ道を登るも1ヶ所間違えて左へ行き過ぎたため下り直して登り返す。
 夕方登った時には間違えそうになかったとこなんだけどなぁ…
 改めて視界が悪い時のルートファインディング(っつーほどでも無いが)の難しさを知る。

 で、4時45分に再び空木岳頂上について、ご来光を待つ。
 たった独りの頂上で刻々と赤くなっていく東の空に興奮して同じ構図の同じような写真を無駄撮りしまくり。


明け行く空
  

八ヶ岳と朝焼け
  

八ヶ岳炎上


 気温約5℃で西から強風が吹きつけ寒さに耐えること30分弱、5時12分、ついにご来光!!


ご来光の瞬間
  

ご来光A
  

強烈な朝の光
  

朝の中ア北部
  

伊那谷の目覚め


 ちなみにご来光を待つ間〜ご来光後しばらくはアホみたいに同じような写真撮りまくりで80枚くらい撮ってしまった。
 ↑の写真も似たようなのが多いですが、自己満足以外の何者でもないですね(^_^;)

 さて、せっかく天気良いのにこのまま下るだけではもったいない。
 っつー事でサブザックに必要なものだけ詰めて南駒ヶ岳へ向かうことにする。
 地図では片道2時間程度だけど…見た感じではアップダウンは小さいけどけっこう遠くに見えるので意外と時間掛かるかも?
 と思いながら歩き始める。


これから向かう赤椰(あかなぎ)岳(左)と南駒ヶ岳(右)
  

怪異な姿の田切岳
  

南アルプスと夜明けの伊那谷


 赤椰岳から派生する尾根上にそびえる田切岳は見る角度によって形がいろいろ変わる興味深い山。
 ただ、登山道は通っていないので見て楽しむだけですが。


赤椰岳から仰ぎ見る南駒ヶ岳
  

崖(百間ナギ)のすぐそばに立つ摺鉢窪避難小屋


 基本的には空木岳〜南駒ヶ岳はアップダウンの小さい快適な稜線歩きですが、 南駒ヶ岳への最後の登りだけはけっこうな急登。
 まぁ、今回は荷物が軽いので全然問題ありませんでしたが荷物が重いと辛いはず。
 で、予定よりかなり早く1時間10分ほどで南駒ヶ岳(2841m)に到着。
 ここもやっぱり9年ぶり。
 前回は摺鉢窪避難小屋に泊まったけど、当時よりも小屋から崖までの距離が縮まったような気がする。


南駒ヶ岳より中央アルプス主稜線
  

南駒ヶ岳より中央アルプス最南部の山々


 南駒ヶ岳も360°展望の山。
 中央アルプス主稜線の山々の景色が素晴らしい。
 南を見ると越百(こすも)山、安平路山、摺古木山、そして恵那山と中央アルプス最南部の山々も見える。
 30分ほど南駒ヶ岳の山頂で景色を楽しんだら岐路に着く。

 今度は空木岳をずっと見ながらの快適な稜線漫歩。
 さっきも見たはずだけど赤椰岳から見る空木岳にまた見とれてまた写真を撮ったところで電池終了。


赤椰岳より空木岳と中ア北部の山々


 南駒ヶ岳から1時間ほどで空木岳山頂に戻ってきて下る前に景色を目に焼き付けてパッキングしたら8時50分に下山開始。

 駒石経由で宝剣岳方面を眺めながらゆっくり下って、空木平との分岐より先は次第に景色も無くなり黙々と下る。
 小地獄・大地獄の難所は単調な下りにアクセントをつけてくれる。
 尻無より下は前日したように遊歩道を選択するも笹薮に覆われ、無駄にジグザグ下ってちょっと損した気分。
 池山小屋付近の水場で冷たい湧き水を飲んだら最後の一踏ん張り。

 …と思ったら登り同様、池山小屋〜車までがめちゃめちゃ遠かった。
 こちらも登り(池山山頂経由登山道)とは違う遊歩道経由で林道終点へ向かうも…だらだらと緩〜い道が続く。
 単独行だとこういうところが一番辛い。
 足裏が痛くなってやっとの思いで林道終点の駐車場について大休止。
 そこから登山道と荒れた舗装路をだらだら歩いて12時40分、ようやく古城公園上に置いてある車まで到着。
 昨日出発する時は自分の車を合わせて3台しかいなかったのに、ゲート前に10台以上の車、しかもほとんど他県ナンバーの 車が止まっていた。
 下山時すれ違った方の中には空木岳日帰り登山という方もいたし、ほとんどの方がかなりの軽装だったから 日帰りでここから空木岳を目指す方も多いのかな?
 紅葉の時期ならともかく、この時期の日帰りは辛そうだけど…ご苦労様です。

 車まで来たら家までは15分ちょっと。
 結局今回の登山使った金額は避難小屋宿泊料の1000円のみ。
 ガソリンも200円分も使ってないだろうから総額1200円という事でいきあたりばったりの貧乏登山の割には かなり満足感の高い山行となったのでした。


家の駐車場から見た空木岳(中央)


   
その他 ・林道終点〜池山小屋までは近年整備されているようで、古い地図は役に立たないので最新の情報を入手していきましょう。
・林道古城線は大雨の後とかしばしば通行止めになるようですので、ご注意ください。
・空木平避難小屋は今回は少人数で快適でしたが紅葉の時期の週末は込み合うらしいです。
・南駒ヶ岳〜飯島へ下る中小川登山道は、現時点では数年前に崩壊したままで通行止めなので利用できない上、
 復旧のめども立っていないらしいです。
 個人的にお気に入りの登山道なので残念です。




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