My Favorite Mountains No.31

剱岳 山域;北アルプス 難易度;☆☆
山行日;2009.07.23()〜24()
ルート
第1日目;馬場島−早月小屋
第2日目;早月小屋−剱岳−早月小屋−馬場島
ガイド

感想
 今年の7月末の5連休、当初は南アルプス白根三山縦走を考えていました。
 が、映画『剱岳〜点の記〜』をみて即計画変更。
 なんて単純な思考回路だろう(^^;

 んで、行き先が決まった後はルート選定。
 候補は「黒部ダム〜剱沢〜別山尾根」「剱沢〜長次郎谷」「室堂〜別山尾根+奥大日岳経由下山」「早月尾根」の4つ。

 まず考えたのはやはり映画の影響で登りたいと思い立った事から「長次郎谷」(バリエーションルート)。
 このルートは実際に測量隊が通ったルートでもあり、以前からも興味のあったルート。
 しかし数年前に金欠のためピッケル・アイゼンを売ってしまったため装備不足で断念。

 次に以前取った黒部ダムを起点とするルート。
 以前に行った時も残雪の多さに苦労したが今年も残雪が多く通行不可との事前情報を得たためここも断念。
 まぁ、昔行った時も通行止めの看板あったような気がしないでもないが…

 で、その次に考えたのが室堂から別山尾根を通って剱岳に登った後、奥大日岳を経由して下山する2泊3日のルート。
 このルートのネックは3日目の行動時間の長さとアルペンルートを利用することによる金銭的な問題。
 それに梅雨明け後も天候不順が続いていたため3日間も天気持つのか?っつー事。
 んで、いろいろ検討した結果ここも断念。

 で、最後の残った選択肢が今回採用した「早月尾根」。
 標高差2200m。アルプス3大急登の一つ。
 ここを最後に検討したのはその悪名を知っていたからですが、一度登ってみようか?と思い始めると逆にそこが魅力になって行き、 ここから登ることに決定したのでした。

 ただ、天候不順のため最終的には直前の天気を見て、北アルプス北部の剱岳か南アルプスの白根三山に決定するということにして、 いちおー関東甲信越は梅雨明け後なのに梅雨前線が日本の南海上へ移動したのを見て剱岳に決定したのでした。



 前置きが非常に長くなりましたが、ここからようやく本編です。

 前日夜に自宅からAll下道で登山口のある富山県上市町の馬場島まで移動して車泊。
 翌朝、他の登山者が準備する音で目を覚まして外を見るといい天気!!


馬場島より剱岳と北方稜線


 目指す剱岳ははるか遠く、高く見える。
 今日の予定は早月小屋までだけど、ここんとこ天候不順が続いているし、天気・体力次第では今日中に頂上往復もありかも?という計画。
 この臨機応変な(優柔不断、単にわがままなだけ、とも言う)計画変更出来るのが単独行の最大の強みかも?

 朝飯食べて準備したら午前6時丁度に出発。
 駐車場から5分ほど歩いたところに登山口。
 慰霊碑等があるので遭難者の冥福と登山の安全を祈念する。
 慰霊碑等に書かれた言葉を読んでいると、今回自分が登るのは無雪期の一般道とは言え、 気を引き締めずにはいられない。

「試練と憧れ」の碑
  

「剱岳の諭」の碑


 さて、早月尾根の登山道はのっけから急登。
 久々の20kgにこの登りはきつい。
 と思ったのも束の間、やがてベンチのあるところから少しの間だけは平坦な道でほっと一息。

 この平坦な道もやがて終わり、また急登。
 標高1000mから先は200m置きに毎回道標があるとは言え、コースタイム的には一定の間隔ではないため、 例えば1200m〜1400mはやたら長くてしんどかったし、逆に1400m〜1600mは距離も短くたいした事ない。


樹林帯の中の登山道
  

樹間より猫又山方面


 基本的には早月小屋まで急登の連続。
 さすがにアルプス三大急登に数えられるだけのことはある。
 ちなみのアルプス三大急登は「燕岳合戦尾根・烏帽子岳ブナ立て尾根・剱岳早月尾根」とする説と 「燕岳合戦尾根・烏帽子岳ブナ立尾根・笠ヶ岳笠新道」とする説があるけど、いちおー全部登った 作者からすると合戦尾根は複数回登ったけど、そんな辛かった記憶も無いし、 ブナ立て尾根と笠新道はかなりしんどかった記憶があるのでアルプス三大急登は 「烏帽子岳ブナ立て尾根・剱岳早月尾根・笠ヶ岳笠新道」でいいんじゃないの?って思いますが…

 1920mの紀和平三角点から2200mの早月小屋までも地図で見る以上にしんどかった。
 午前10時40分に早月小屋着。


早月小屋とテン場


 この時点で頂上方面はガスで見えず。
 30分ほど休憩して頂上往復するかどうか検討するも、ガスが一向に晴れないのと疲れが溜まっていることから 当初計画どおり頂上往復は明日に賭けて、小屋でビールを買って午前中から飲酒モード。

 テント張ったら外でビール飲みながら時折ガスの間から見える小窓尾根の景色見たり、登山口に来る途中で 買った「剱岳〜点の記〜」の小説読みながら昼寝もしたりしてまったり過ごす。
 何気に山で過ごすこういう時間はすごく贅沢で幸せな気分になる。ビールもおかわりしたくらいで…


早月小屋付近からガスの合間に見える剱岳
  

午後の小窓尾根


 夜少し雨が降ったものの、最近の天候不順を考えるとまずまずの天気で第1日目は終了したのでした。



 朝3時30分に目が覚め、外を見ると少し星が見え、頂上方面も見え、気分が高まる。
 単独行時の定番、チキンラーメンをすすったらサブザックに水・食料・カッパ等の必要最低限装備を詰めて テントはそのままにして、4時50分早月小屋を出発。

 早月尾根は後半も基本的に急登。
 寝起きの身体にはちと辛いが荷物が軽い分、前日よりははるかに楽ちん♪


朝の剱岳
  

北方稜線からのご来光


   北方稜線より上がってきたご来光を拝んで、展望を楽しみながら登っていく。


朝日を浴びた早月尾根と剱岳
  

右手には奥大日岳


 途中、雪田を横切る箇所も何箇所かあったけど、斜度が緩いとこだけだったので難なく通過。
 頂上が近くなるに連れ、岩場が多くなり鎖場も出てくる。


カニのハサミ?の鎖場


 地図に書いてある「カニのハサミ」はどこだかよくわからないけど (別山尾根の「カニのタテバイ」「カニのタテバイ」は非常にわかりやすいのですが)、 何箇所かの鎖場を抜けたら6時42分、剱岳(標高2999m)頂上着。

 着いてすぐは時間が早いこともあって他に誰もいないたった独りの頂上でしたが、 やがて別山尾根からわらわらと登山者が押し寄せ平日にも関わらずけっこうな人で賑わう。
 たぶん作者のように映画の影響で来た人たちもおおいんだろうな〜。


まずは記念撮影
  

立山と剱沢
  

ガス沸く八ツ峰@
  

ガス沸く八ツ峰A
  

八ツ峰(左)と源次郎尾根(右)
  

早月尾根
  

別山尾根
  

後立山連峰は雲海の下
  

剱岳頂上の祠と立山
  

近年剱岳頂上に設置された三角点


 付近の山々にはガスが多いものの近くは立山・毛勝・大日、遠くは水晶・薬師・白馬・朝日 それに日本海まで見渡せる好展望を小一時間ほど堪能したら7時30分下山開始。
 標高差2200mの長い長い下山の始まりです。

 荷物が軽いことをいいことに、ちゃっちゃか下る。
 トレイルランしてるつもりはないけど、コースタイムの半分以下の時間で8時40分に早月小屋着。

 なんとなく炭酸が飲みたくなってコーラ飲んで一息ついてテントを畳んだらまた重い荷物を持って撤収。
 まぁ、重いっつっても水と食料が無い分、登りよりはずいぶん軽いのですが。
 ちなみに早月小屋で水は2リットル800円のペットボトルを購入する事も出来ます。作者は3リットル持って登りましたが…

 9時30分に早月小屋発。
 早月尾根は長い、暑い、超しんどい。
 少しでもしんどい時間を短縮するために木の根が張っている場所以外は小走りで下る。
 昨日はまったく気にしなかった1920mの紀和平三角点で写真撮った以外はカメラを出すことも無く、ひたすら下る。


柴崎芳太郎ら一行が設置したらしい紀和平の三角点


 長い長い下りに膝が微笑みかけるも11時40分、馬場島に到着。
 昨日4時間40分掛けて登った道が下りだと2時間10分。
 自分の経験上、この登りと下りの時間差が大きいほど急登だと思うので2倍以上違うここは間違いなく急登なのでしょう。
 登りでバテ過ぎだっつー話もありますが(^^;



 上市町の「アルプスの湯」で2日間の汗を流して、富山市内の回転寿司で遅めの昼食食べて 富山湾の宝石といわれる白エビの寿司に感動して富山を満喫してから帰途に着いたのでした。

  
その他 ・早月尾根はしんどいです。体力に自信をつけてから登りましょう。
・登山道はしっかり整備されていますが、梅雨明け前とか早い時期に登る方はアイゼン等必要になる場合もあるらしいので
 早月小屋に確認した方がいいでしょう。




inserted by FC2 system